3月13日、改正労働者派遣法案が閣議決定され、国会に提出されました。昨年以来、今回が3回目の提出となります。

厚生労働省 労働者派遣法の見直しについて
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386.html
 
労働者派遣法の改正案について
 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/zengo.pdf
 
概要 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/gaiyou_2.pdf

法律案要綱 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/youkou_1.pdf

新旧対照表 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/shinkyuu_1.pdf

今回の改正案は昨年12月に廃案になったものと基本的に同じですが、第25条(運用上の配慮)において、厚生労働大臣は、労働者派遣法の運用にあたって、派遣就業が臨時的かつ一時的であることを原則とすることを考慮しなければならないことを定めるなどの若干の変更がありました。

今回の改正の趣旨は、厚生労働省の「労働者派遣をとりまく現状と課題について」で整理されています。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/kadai_1.pdf

具体的には、以下の趣旨が掲げられています。

(1)業界の健全化

これまで派遣事業者の中には悪質な者も存在したとした上で、全ての労働者派遣事業を許可制とし、派遣労働者のキャリア形成支援制度を持つことを許可要件に追加する。

(2)雇用安定措置の義務化

これまでは派遣期間の上限で雇い止めになるケースも多く、雇用の継続が保証されなかったが、「派遣先への直接雇用の依頼」、「新たな派遣先の提供」、「派遣元での無期雇用」等による雇用安定措置を義務化する。

(3)個人単位および事業所単位の期間制限に

これまでは26業務かどうかによって期間制限が異なっていたためにわかりにくい現行制度を、個人単位および事業所単位の期間制限に代えることでわかりやすくする。
派遣先事業所全体の派遣労働者について3年の上限を設け、延長には過半数組合等のチェックを必要とする。

(4)派遣労働者の多様な働き方へのニーズへの対応

派遣労働者においては、「正社員として働きたい」というニーズと「派遣として働きたい」というニーズが同程度であることから、計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングにより「正社員への道を開く」一方、派遣労働者として働くことを希望する人の「待遇の改善」を図る。

改正の最大の争点は(3)の期間の問題です。3年の派遣先事業所単位の期間制限が設けられていますが、過半数組合等に意見聴取(同意の取得ではない)をすれば延長が可能であることで、事実上期間制限がなくなる可能性が指摘されています。

 過去の記事でも書きましたが、専門26業務と自由化業務の区別が不明確になっている現状において、現行法のままでは、平成27年10月1日に労働契約申込みみなし制度が開始された場合に大きな混乱が生じるため、改正が急がれているところです。今回の改正法附則では施行日は本年9月1日とされているのはかかる趣旨によるものと思われます。

三度目の正直で改正法が成立するか注視されます。