1月23日、厚生労働省は、妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取り扱いに関し、男女雇用機会均等法解釈通達と育児・介護休業法解釈通達の一部を改正しました。

男女雇用機会均等法9条3項や育児・介護休業法10条では、妊娠・出産、育児休業等を「理由として」解雇等の不利益取扱いを禁止しています。
近年、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い等の相談件数は引き続き高い水準で推移しており、昨年 10 月 23 日には男女雇用機会均等法9条3項の適用に関して最高裁判所の判決があったことなどを踏まえ、行政解釈を改めることとしたものです。

(改正概要)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000071926.pdf

(「改正雇用の分野における男女均等な機会及び待遇確保関す法律施行について」 及び「育児休業・介護等又は家族を行う労働者の福祉 に関する法律の施行ついて」 の一部改正について)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000071927.pdf

今回の改正では、妊娠・出産、育児休業等を事由を「契機」として不利益取扱いが行われた場合、原則として、妊娠・出産、育児休業等を「理由」として不利益取扱いがなされたと解され、男女雇用機会均等法等に違反することにとなります。
そして、「契機」に該当するかは、基本的に妊娠・出産等が発生している期間に時間的に近接して不利益取扱いがなされているかによって判断されます。

ただし、次の二つの場合は例外となります。

(例外1)
●円滑な業務運営や人員の適正配置の確保など業務上の必要性から支障があるため、当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合において
●その業務上の必要性の内容や程度が法の規定の趣旨に実質的に反しないと認められるほどに、当該不利益取扱いにより受ける影響の内容や程度を上回ると認められる程度の特段の事情が存在すると認められるとき

(例外2)
●契機とした事由または当該取扱いにより受ける有利な影響が存在し、かつ、当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、
●当該事由および当該取扱いにより受ける有利な影響の内容や程度が当該取扱いにより受ける不利な影響の内容や程度を上回り、当該取扱いについて事業主から労働者に対し適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば当該取扱いに同意するような合理的理由が客観的に存在するとき

例外1は事業者側に不利益取扱いをする業務上の必要性がある場合、例外2は労働者に不利益取扱いによる有利な影響があり、かつ労働者が同意している場合が想定されています。
しかし、例外1については特段の事情、例外2については合理的理由が客観的に存在することを要しますので、例外要件としてはかなり厳格です。

事業者は、不利益取扱いをするにあたっては上記例外要件の該当性を十分検討する必要があります。