本年の通常国会により、労働安全衛生法が改正され、従業員50人以上の事業所は、年1回、従業員に対してストレスチェックを実施することが義務付けられることになりました(50人未満の事業所については努力義務となります。)。
厚生労働省 リーフレット「労働安全衛生法が改正されます」
改正労働安全衛生法Q&A集
ストレスチェックに関する改正法の施行は来年12月までの政令で定める日です。
以下、ストレスチェック制度の概要をQ&A形式でまとめてみます。
Q ストレスチェック制度の目的は?
A 労働者のストレスの程度を把握することにより、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげていく一次予防を主な目的とした制度であり、精神疾患の早期発見を行うことを一義的な目的とする制度ではありません。
Q ストレスチェックの結果を事業者は知ることができるか?
A ストレスチェックの結果は、実施者(医師、保健師等)から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に通知することは禁止されます(法66条の10第2項)。この点で、通常の健康診断とは異なる取扱いとなります。
実施者や実施事務に従事した者には守秘義務が課せられます。
Q ストレスチェックの対象者は?
A 一般健康診断と同じく、常時使用する労働者が対象となる予定です。
Q 労働者にストレスチェックを受ける義務はあるか?
A 労働者にはストレスチェックを受ける義務は課されていません。ただし、事業者は、希望の有無にかかわらず、対象となる労働者全員にストレスチェックを受ける機会を提供する必要があります。
Q ストレスチェックの結果について、個人の結果が分からないように加工して事業者に提供することは、労働者の同意なしに可能か?
A 原則として可能ですが、集団の単位が小さいこと等で個人の識別が可能な場合は当該労働者の同意が必要です。
Q 法66条の10第3項の「面接指導」とは?
A 事業者は、ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者であって厚生労働省令で定める要件に該当する者が希望したときは、医師による面接指導を受けさせなければなりません。
「面接指導」とは、問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うもので、医師以外は実施できません。
事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞いた上で、労働者の健康を確保するため就業上の措置を講じなければなりません(法66条の10第3項、第5・6項)。
Q 労働者が面接指導の申出をした場合の不利益的な取扱いの禁止とは?
A 事業者は、労働者が面接指導の申出をしたことを理由に不利益な取扱いをしてはなりません(法66条の10第3項)。不利益的取扱いとは、面接指導の後に当該申出をしたことを理由に解雇、減給、降格、不利益な配置転換がなされた場合が考えられます。
Q 事業者は面接指導の結果を労働者の同意なく把握できるか?
A 面接指導は労働者の申出に基づくものであり、結果に基づく就業上の措置が事業者に課せられています。そのため、事業者は、労働者の同意なく結果を把握することができます。