10日、内閣府の消費者委員会は、景品表示法(景表法)への課徴金制度の導入のあり方について答申を行いました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1003B_Q4A610C1CR8000/
答申(案)
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kachoukin/doc/140610_shiryou1.pdf
答申(案)の概要
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kachoukin/doc/140610_sankou1.pdf
それでは、今回の答申のポイントを見てみましょう。
1.対象行為
優良誤認表示・有利誤認表示・不実証広告に係る表示が対象となり、指定告示に係る表示は除外されています。ただし、不実証広告規制に係る表示については、合理的根拠資料の提出がなければ課徴金を賦課することができるとした上で、被処分者がその後の訴訟において合理的根拠資料を提出して不当表示でないことを立証することにより、賦課処分について争うことができるとする手続規定を設けるべきとしています。
2.主観的要素
不当表示がなされた場合には、原則として課徴金を賦課することとし、違反行為者から、不当表示を意図的に行ったものでなく、かつ、一定の注意義務を尽くしたことについて合理的な反証がなされた場合を、例外的に対象外とすれば足りるとしています。
要するに、事業者が故意・過失がないことを立証できなければ、不当表示があったことのみで課徴金が課されることになります。
この点、事業者側は、事業者に故意・重過失があることを要求すべきだとの主張をしていたのですが、今回の答申では容れられませんでした。
事業者にとっては、不当表示を発生させないことは当然ながら、故意がないこと(善意)かつ無過失を立証する方法を検討していくことが重要となります。無過失の立証とは、すなわち通常の注意義務を尽くしていたことを立証することですので、まずは不当表示を発生させないための体制の整備をしていることの証明が要求されることになります。
3.規模基準
課徴金制度を実効あらしめるためにも、執行の負担を考慮し、一定の裾切りは必要であるとしています。裾切りの基準額については、過去の措置命令事案も精査した上で、違反行為が消費者に与える影響と課徴金の賦課処分が与える事業者への影響等を勘案して適切な要件設定を検討する必要があるとしています。
4.課徴金額の算定
課徴金額は、事業者の得た不当な利得相当額を基準とし、一定の算定式により一律に算定すべきとしています。課徴金の金額については、過去に同様の制度が検討された際に「違反商品の売上額の3%」が提案されていましたが、これより大幅な引き上げを求める声も関係者から強く、消費者庁が今後、具体的な金額の算出方法を検討するとのことです。
被害回復との関係では、事業者が消費者への返金等の自主対応をした場合に課徴金額から一定額を控除する制度を採用するべきとしています。
消費者庁は、早ければ今秋の臨時国会に法案を提出する予定です。