日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」が公表した「経営者保証に関するガイドライン」 の適用が2月1日から開始されました。

(経済産業省のサイト)
http://www.meti.go.jp/press/2013/01/20140130004/20140130004.html
(一般社団法人全国銀行協会のサイト)
http://www.zenginkyo.or.jp/news/2014/01/16130000.html
(日本商工会議所のサイト)
http://www.jcci.or.jp/sme/assurance.html

 本ガイドラインは、経営者保証に関する中小企業・小規模事業者、経営者および金融機関による対応に関する自主的自律的な準則として、昨年12月5日に公表されました。

 本ガイドラインの概要は、以下のとおりです。

1.経営者保証に依存しない融資の促進

 金融機関は、①法人と個人が明確に分離されていること、②法人と経営者個人間の資金のやりとりが社会通念上適切な範囲を超えないこと、③法人のみの資産・収益力で返済が可能と判断し得ること、④法人から適時・適切な財務状況等が提供されてていること等の事情が将来にわたって充足すると見込まれるときは、経営者の個人保証を求めない可能性や代替的な融資手法(条件付保証契約等)の活用について検討する。

2.経営者保証の契約時の金融機関の対応

 金融機関が経営者保証を締結する場合は、契約締結の必要性等について丁寧かつ具体的に説明し、保証人の資産・収入の状況等を考慮した適切な保証金額を設定する。

3.既存の保証契約の適切な見直し

主たる債務者において経営の改善が図られたこと等により、主たる債務者および保証人から既存の保証契約の解除等の申入れがあった場合は、金融機関は、上記1に即して、経営者保証の必要性や適切な保証金額等について真摯かつ柔軟に検討を行う。
 事業承継においては、金融機関は前経営者の保証債務について、後継者に当然に引き継がせるのではなく、上記1に即して、保証契約の必要性等についてあらためて検討する。前経営者から保証契約の解除を求められた金融機関は、前経営者が引き続き実質的な経営権・支配権を有しているか、当該保証契約以外の既存債嫌悪保全の状況等を勘案しつつ、保証契約の状況について適切に判断するものとする。

4.保証債務の整理

 主たる債務者が法的倒産手続を申し立てた場合等の本ガイドラインの定める要件を満たす保証人は、金融機関に対し、保証債務の整理を申し出ることができる。
 本整理において、金融機関は、保証債務の履行について、一定の経済的合理性が認められる場合、すなわち本整理を利用した場合の回収額の増加額が見込まれる場合、当該増加見込額を上限として、①破産手続上の自由財産(現金の場合は99万円)、②一定期間の生活費に相当する額(期間は年齢に応じて算出)、③「華美でない」自宅や事業継続に最低限必要な資産等を残存資産として保証人の手元に残すことを検討するものとする。

 本ガイドラインが今後の中小企業の金融や事業承継に与える影響は大きいものと思われます。そして、中小企業の経営者は、本ガイドラインの適用を受けるためにも、会社と経営者個人の資産・経理を明確に区分すること等の対策が必要となるでしょう。