今国会で与党が成立を目指していた労働者派遣法の改正が見送られる模様です。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141112-OYT1T50158.html
自民、公明両党は12日、企業の派遣労働者受け入れ期間の制限をなくす労働者派遣法改正案について、今国会での成立を事実上断念した。安倍晋三首相による早期の衆院解散に向けた環境を整備するため、与野党の対決法案で譲り、最重要課題とする地方創生関連2法案の成立に全力を挙げるためだ。
衆院厚生労働委員会は同日の理事会で、早期解散を念頭に、今週は労働者派遣法改正案を審議せず、与野党が対立していない感染症法改正案の採決などを優先する日程を確認した。
労働者派遣法改正案をめぐっては、民主党など野党が「生涯派遣の人が増える」と反発、審議が停滞していた。
現行法では、専門26業務とそれ以外(自由化業務)かによって派遣期間の制限の有無が決定される構造になっており、前者は期間制限がないのに対し、後者は最長3年の期間制限があります。今回の改正法案では両者の区別は廃止され、原則として業務を問わず、同一組織単位での同一派遣労働者の受け入れ期間が最長3年となります(なお、派遣元で無期雇用される派遣労働者にはこの期間制限は適用されません)。
ところで、来年(平成27年)10月に開始される「労働契約申込みみなし制度」では、派遣先は、期間制限を超えた受け入れ等をした場合、派遣労働者に対し同一の労働条件による労働契約を申し込んだものとみなされます(労働者派遣法40条の6第1項本文)。
厚生労働省が改正を急いでいる理由のひとつに、専門26業務と自由化業務の区別が不明確になっている現状において、現行法のままでは、労働契約申込みみなし制度が開始された場合に大きな混乱が生じるからといわれています。
臨時国会での成立は見送られることになりましたが、上記の理由で改正の方向性自体は今後変わることはないものと考えられます。
そして、来年の通常国会において改正法が成立した場合、現在の専門26業務の派遣労働者の処遇をはじめとする実務上の対応が必要となります。今後の帰趨に注意が必要です。