近年、オレオレ詐欺(振り込め詐欺)の量刑が極めて厳しくなっています。私が最近担当した事件では同種前科がないにもかかわらず、頼まれて数日間の受け子(ATMからの現金の引き出し役)を行っただけで、窃盗により懲役2年を超える実刑判決が言い渡されたという事案がありました。
以前の集団犯罪では末端レベルで初犯であれば、執行猶予となることが多かったと思いますが、オレオレ詐欺に関しては末端レベルでも実刑になるようです。
日本中でこれだけオレオレ詐欺の被害が拡大している以上、裁判所は一般予防の見地から厳罰に処すということであり、こうした傾向は当面変わらないでしょう。
しかしながら、世間ではオレオレ詐欺に関与した場合は原則として実刑になるという危険があまり知られておらず、学生がアルバイト感覚でオレオレ詐欺に関与するようなケースも報道されています。
実刑となった場合、人生における損失は計りしれません。オレオレ詐欺に関与することの危険性を強く認識し、くれぐれも甘い誘いに乗らないようご注意ください。
そして、被告人に詐欺に関与しているとの明確な認識がなかったとしても、刑事裁判では、違法な引き出しに関与しているという認識(他人名義のキャッシュカードを使用したり、報酬を受領していれば、このような認識は認定されやすい)があれば、少なくとも「未必の故意」が認定され、オレオレ詐欺の共犯に準じた重い量刑となります。
なお、オレオレ詐欺の量刑では被害回復が極めて重要となります。逮捕された場合は、早期に被害者との示談に向けて努力すべきでしょう。