1月23日、労働政策審議会雇用均等分科会は、「『短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律』(「パートタイム労働法」)の一部を改正する法律案要綱」を答申しました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000035268.html
この改正法案要綱は、平成24年6月21日の労働政策審議会建議を踏まえたものとなっています。厚生労働省は、この答申を踏まえ、通常国会に改正法案を提出することになります。
今回の法律案要項のうち重要な部分を見てみましょう。
1 短時間労働者の待遇の原則
事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者および通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとすること。
労働契約法第20条は、有期労働者の労働条件が、有期労働者であることにより無期労働者の労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないと規定しています。
今回の改正は、短時間労働者(パートタイマー、アルバイト、嘱託社員の呼び方に関わりません。)の労働条件についても、不合理な労働条件の相違を設けることができないとの原則を明示するものです。
2 差別的取扱いの禁止の対象短時間労働者の範囲の拡大等
差別的取扱いの禁止の対象となる通常の労働者と同視すべき短時間労働者について、事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているものとの要件を削除すること。
現在のパートタイム労働法では、以下の3要件を満たす短時間労働者について、待遇(賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用を含む。)の差別的取扱いを禁止しています(第8条)。
①職務の内容が通常の労働者と同じであること
②人材活用の仕組みや運用等が全雇用期間を通じて通常の労働者と同じであること
③契約期間が無期または反復更新によって社会通念上無期と同視されること
今回の改正は、③の要件を削除することで、差別的取扱い禁止の対象となる短時間労働者の範囲の拡大を目指すものです。
もっとも、依然として②の要件が必要となる以上、改正後も差別的取扱い禁止の対象となる短時間労働者はさほど拡大しないため、短時間労働者の保護としては必ずしも十分なものとはいえません。
しかしながら、 パートタイム労働者も正社員も「転勤」、「職務内容の変更」、「配置の変更」が「無い」場合は、②の要件を満たすことになりますので、事業者は今後の改正の動きに注意が必要です。
以上のほか、「雇用管理の改善等に関する措置の内容の説明義務の新設」、「相談のための体制の整備」、「行政への報告の拒否等を行った事業主への過料や勧告に従わない事業主名の公表」が法律案要綱の内容となります。