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中小企業再生のための特定調停の運用が始まりました

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中小企業再生のための特定調停の運用が始まりました
(2013.12.27)


中小企業再生の手法としては、裁判所を関与させずに私的整理の方法で行われることが一般的でした。これは、従前の民事再生や破産といった法的手続がいずれも倒産を前提としていることが背景にあります。

この度、弁護士会と最高裁判所との間で、特定調停手続を中小企業再生に利用する運用について協議がまとまりました。

本運用は、申立前に債務者である企業が金融機関と十分な協議を行うことを前提している「事前調整型」です。特定調停を中小企業再生のために利用するメリットとしては、主に次の点にあると思われます。

(1)金融機関のみを相手として一般取引先に知られずに延長手続を進めることができます(民事再生の場合は全債権者を手続に関与させる必要があります。)。
(2)特定調停は中立な裁判所(調停委員会)が主宰する手続であることから、債務者企業と金融機関が直接協議する場合よりも公平で円満な協議が期待できます。
(3)当事者が合意に至らない場合、裁判所は相当と認めた決定をすることができます(いわゆる民事調停法17条決定)。本決定は、当事者から2週間以内に 異議が出なければ、裁判上の和解と同一の効力を有します。したがいまして、調停には応じられないが、裁判所の決定には従うというスタンスの金融機関がいる 場合、17条決定を得ることで事実上の和解をすることが可能です。

今後は、特定調停が積極的に活用されることが期待されます。

 

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